2015灘中入試算数一日目10番の研究

 2014年度もそうでしたが、灘中入試算数で出題される平面図形の問題は、色々な考え方、色々なアプローチ法、テクニックを、一つの問題から多く学ぶことが出来ます。今回は、一日目の10番にスポットライトを当てて、なんと8つもの解法を紹介することにより、様々な角度から一つの問題を解き明かしていきたいと思います。

 皆さんは、<解法1>~<解法8>のうち、どれがお気に入りですか?自分に一番合う解法を探してみてください。

<序章 この問題のポイント>

まず、この問題の解法は大きく分けて2つに分類されます。

【1】「相似を作って比を求める」

【2】「面積比から辺比へ変換」

<解法1>~<解法6>は【1】に分類され、

<解法7>,<解法8>は【2】に分類されます。

問いは①、②と2つありますが、①が出来た人にとっては、②も苦労せず正解できるでしょう。つまり、このレベルの問題を落とすと大変痛い失点となり合格が遠のきます。ただ解いて答えを出すだけで終わるのでは無く、どのような考え方を習得することが灘中合格するために必要か学び取ることが重要です。今後の学習に役立ててください。


<解法1>

 一辺が5㎝の正三角形を外側に作ることによって、ピラミッド相似を生み出します。

 ECの長さを求めて、AC=8㎝から引く、という解法です。


<解法2>

 <解法1>とほぼ同じ考え方です。<解法1>は一辺5㎝の正三角形を外側に作ってやりましたが、今度は、一辺3㎝の正三角形を外側に作ることによって、ピラミッド相似を生み出します。

 <解法1>と同様、ECの長さを求めて、AC=8㎝から引く、という考え方です。


<解法3>

 <解法1><解法2>では、外側に正三角形を作ってやりましたが、今度は、内側に作ってみます。一辺5㎝の正三角形を内側に作ることによって、ピラミッド相似を生み出します。

 あとは同様、ECの長さを求めて、AC=8㎝から引く、という考え方です。


<解法4>

 <解法3>とほぼ同じ考え方です。<解法3>は一辺5㎝の正三角形を内側に作ってやりましたが、今度は、一辺3㎝の正三角形を内側に作ることによって、ピラミッド相似を生み出します。

 最後はこれまでと同様、ECの長さを求めて、AC=8㎝から引く、という考え方です。


<解法5>

 これまでは、一辺5㎝或いは一辺3㎝の正三角形を作ることによって、ピラミッド相似を生み出しました。

 <解法5><解法6>では、一辺8㎝の正三角形を作ることによって、ピラミッド相似を生み出します。

 これまでと比べると、若干手間が増え、計算が少しだけ煩雑になりますね。(あくまで、少しだけ、ですが…)

 最後はAE:ECの辺比を出し、AC=8㎝を比例配分してやる、という考え方です。


<解法6>

  <解法5>とほぼ同じです。一辺8㎝の正三角形を先ほどと逆側に作ることによって、ピラミッド相似を生み出します。

 最後は<解法5>同様、AE:ECの辺比を出し、AC=8㎝を比例配分してやる、という考え方です。


<解法7>

 りんぺん比のかけ算、等底図形の面積比、による解法です。この解き方をきちんと習得しておくと、多くの平面図形の難問に対応できるようになるので、ある意味高度な考え方といえるかもしれません。

 とても重要な考え方ですので、基本からていねいに解説しています。これを機会にしっかり習得して、レベルアップしてくださいね。


<解法8>

 この問題のタネ明かし的な解法です。実は作問者は、ある3つの有名な三角形が頭の中にあって、それを元にこの問題を作ったと思われます。その3つの有名三角形は、正三角形の子分みたいな図形なんですが、「七三分け」「七五三」「名古屋」と名前がついています。意味不明ですね?(笑) 動画を見れば分かると思います。「名古屋出身の七三分けした少年が七五三に行く」様子でも想像しながら、ご覧になってください。


<最後のまとめ ②の解説>

 <解法1>~<解法8>どの解法で①を解いても、②は同じ方法で解くことになります。もちろん、<解法8>などで、△ABDが一辺7㎝の正三角形であることが分かれば、違う解き方が無いことは無いのですが、遠回りになるのでここでは避けます。

 60度をはさむ2辺のりんぺん比のかけ算、それから等高図形の面積比から、△AEDの面積が一辺1㎝正三角形の面積の何倍かを求めることができます。